鉄道友の会は5月23日、2024年の「ブルーリボン賞」「ローレル賞」を決定したと発表しました。
ブルーリボン賞とローレル賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が毎年1回、前年の1月1日から12月31日までの間に国内で営業運転を正式に開始した新造および改造車両を対象として、鉄道友の会会員の投票に基づき選定している賞です。
2024年のブルーリボン賞に選ばれたのは、東武鉄道のN100系。「スペーシア X」の愛称を持つ特急型車両です。
「スペーシア X」は、従来の100系「スペーシア」の伝統を引き継ぎつつ、時代の流れに合わせて進化させたフラグシップ特急車両。鉄道友の会では、存在感溢れる外観フォルムや、現代トレンドと江戸・日光の歴史文化を融合させた秀逸なデザイン、機能美に優れた客室設備、安定した走行・運用を実現する機器など、多くのファクターが高い水準でまとめられた車両であると評価。会員からも高い支持を得たことから、ブルーリボン賞に選定したとしています。
ローレル賞には、宇都宮ライトレールのHU300形と、大阪メトロの400系が選定されました。
HU300形は、「ライトライン」の愛称を持つ芳賀・宇都宮LRT用の車両。「雷都を未来へ」がコンセプトの、黄色を基調としたデザインが特徴です。鉄道友の会では、新規開業のLRT路線における、インパクトのあるデザインの車両であることを重視。社会的にも大変に注目されるとともに、次世代のLRTを期待させるポテンシャルの高さから、ローレル賞に選定したと発表しました。
一方で、「本車両が次世代のLRTを志向するために、以下の点について検討が必要」と、ブルーリボン賞・ローレル賞の選定発表では珍しい「ダメ出し」が盛り込まれました。内容は、IC乗車券を持たない乗客の乗降に時間を要すことで発生する遅延の解消に向けた、地上側設備や乗車券システムの改良など、信用乗車の今後に向けた検討と、将来的に期待されている運転速度の向上時における、走行安定性の改良の2点。ブルーリボン賞・ローレル賞の選定車両では、少なくとも2000年以降に同様の提言が盛り込まれたことはないのですが、挑戦的なLRTに対する期待の裏返しでしょうか。
大阪メトロの400系は、中央線向けに投入された車両。夢洲駅延伸や、2025年の開催を予定する「大阪・関西万博」の旅客輸送を担う目的で、大阪メトロ発足後に初めて導入された新系列車両となっています。鉄道友の会では、既存系列の車両とは一線を画すデザイン性と、多様な需要に応える設備を兼ね備えた車両であることを評価し、ローレル賞に選定したと説明しています。