都市間輸送を担う新幹線の駅は、新幹線開業前の在来線時代には特急列車や急行列車の停車駅となっていたような、ある程度の規模の街に設置されることがほとんどです。実際、新幹線の駅がある自治体を見回すと、そのほとんどは市か町です。しかし、たった一つだけ、新幹線の駅がある村が存在しています。
その村は、福島県西白河郡の西郷(にしごう)村。東北新幹線の新白河駅がある村です。もとは磐城西郷駅として開業した駅でしたが、1982年の東北新幹線開業時に、駅名を現在のものに変更しています。
東北本線の白河駅は、白河小峰城や白河市役所に近い、白河市の中心部に置かれています。一方、新幹線の駅は、ルート選定の都合上、白河駅の隣駅である磐城西郷駅(新幹線開業時に現名称に改称)に併設されました。その場所が白河市ではなく西郷村だった結果、2024年現在は日本で唯一となる「村にある新幹線駅」が誕生したのです。とはいえ、新白河駅のホームの一部は、白河市にかかっています。白河市が全く関係ないというわけではありません。
余談ですが、町にある新幹線の駅は、東北新幹線のいわて沼宮内駅(岩手町)および七戸十和田駅(七戸町)、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅(今別町)および木古内駅(木古内町)、上越新幹線の上毛高原駅(みなかみ町)および越後湯沢駅(湯沢町)、北陸新幹線の軽井沢駅(軽井沢町)の7駅。ミニ新幹線区間も含めれば、山形新幹線の高畠駅(高畠町)および大石田駅(大石田町)、秋田新幹線の雫石駅(雫石町)も該当します。
また、新幹線駅がある唯一の村である西郷村ですが、新幹線駅がある自治体で最も人口が少ないわけではありません。西郷村の人口(2024年4月1日時点)は2万979人ですが、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅がある今別町の人口は、2024年3月31日時点で2161人です。