鉄道車両の中には、見ていて楽しい特別な塗装やラッピングが施されたものがあります。それらには様々なテーマがありますが、探してみると、幸運を呼ぶ、しあわせを運ぶといった願いを込めた「ハッピートレイン」という名称の車両が、全国に複数存在します。今回は、2024年7月現在で見ることができる「しあわせの象徴」たちを、見ていきたいと思います。
数ある「ハッピートレイン」の中でとくに有名なのは、京急1000形の「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」でしょうか。これは、同社の黄色い電動貨車をモチーフにした車両。ときおり営業線上に姿を見せる電動貨車は、利用者から「しあわせの黄色い電車」と呼ばれており、その人気に応えて2014年5月登場しました。最初は扉の部分が銀色でしたが、2017年に塗装が変更され、黄色一色になりました。
京急と同じく、JR水郡線を走るキハE130系にも「Suigun Line イエローハッピートレイン」という、黄色い幸運の車両がいます。水郡線は2019年、台風で一部区間が被災し、2021年まで運転を見合わせていました。このハッピートレインは、同線の全線運転再開1周年を記念し、2022年3月にデビューしたものです。その名のとおり、車体は黄色いラッピングが施されていますが、京急とは異なり、全身黄色一色というわけではありません。
関西地区では、2012年3月から神戸電鉄で「HAPPY TRAIN☆」が運転されています。これは粟生線活性化の取り組みの一環として、同線の魅力を表現した車両。両先頭車には沿線自治体の市花などをあしらったラッピングを実施。車内の座席は同社のキャラクターなどが入ったデザインに変えられています。また、運転開始後に、キャラクターの人形が運転席横に設置されました。
九州に目を向けると、松浦鉄道で「ハッピートレイン」が2009年から、平成筑豊鉄道で「スーパーハッピー号」が2017年から、それぞれ走っています。前者は沿線自治体のPRラッピングが施されたラッピング車両、後者は画家のミヤザキ ケンスケさんと沿線の子どもたちのコラボで登場した車両です。とくにスーパーハッピー号は、車体外面のほか、車内の床や座席なども専用のデザインとなっています。
そして2024年6月、「ハッピートレイン」の最新版(?)として、東急多摩川線・池上線に「いけたまハッピートレイン」が登場。この車両は、両線を支える東急社員からの「見るだけでワクワクしハッピーになってほしい」という願いのもとに生まれたもの。臙脂色とピンク色のデザインは、ハッピートレインが走る東急多摩川線・池上線の路線カラーが由来です。
都市の路線だけでなく、地方にも「しあわせの象徴」たちは走っています。これらの路線にお出かけの際は、ちょっとした「しあわせ探し」をしてみても、よいのではないでしょうか。