一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。まず取り上げるのは、主要メディアでも大きく報道された、「ドクターイエロー」引退の話題です。
JR東海とJR西日本は13日、「ドクターイエロー」を引退させる方針を発表しました。両社が保有する1本ずつのうち、JR東海のT4編成は2025年1月に、JR西日本のT5編成は2027年以降に、それぞれ検測作業の任を解かれる予定です。
「ドクターイエロー」は、正式には「新幹線電気軌道総合試験車」という車両。現在の車両は923形という形式で、1999年にデビューし2020年に引退した700系がベースの車両です。「線路のお医者さん」と例えられる「ドクターイエロー」は、線路のゆがみ、架線や信号の状態などを、走りながら検査する機能を有しており、約10日に1回、検査のために走っているということです。
JR両社は、「ドクターイエロー」の引退について、老朽化が理由だと説明しています。では、新しい「ドクターイエロー」を作ればいいのでは、と思われるかもしれませんが、そのような動きはありません。JR東海に取材すると、今後は「のぞみ」などで活躍するN700Sに「営業車検測機能」を持たせ、「ドクターイエロー」の役目を代替するということ。車両の置き換えが必要となる中で、旅客を乗せたまま「ドクターイエロー」のように検査が可能となったことで、このような方針へと舵を切りました。
JR東海は、「営業車での検測精度はドクターイエローとほぼ同等」と説明しています。これも技術の進展による鉄道の進化の一つと言えるのでしょうか。
もう一つご紹介するのは、京阪電気鉄道の2200系のリバイバル企画です。今年でデビュー60周年を迎える2200系。京阪はこれを記念して、1編成の塗装や車外銘板などを、1988年当時の仕様に復刻すると、14日に発表しました。
1988年当時の京阪電車の一般車塗装といえば、濃淡2色の緑色によるツートンカラー。1957年にお目見えしたこの塗装ですが、中之島線開業にあわせた新塗装の導入により、京阪線系統(京阪本線や中之島線)の営業用車両では、2013年に消滅していました。2200系のリバイバル車が営業運転を開始するのは、7月28日の予定。今となっては古い、けれども少し懐かしい塗装が、久しぶりに見られることになります。