1958年にデビューした20系→151系以来、多くの国鉄特急型電車・気動車では、クリーム色と赤色のツートンカラー、いわゆる「国鉄特急色」が施されていました。
全国各地で見られた国鉄特急色ですが、イメージアップなどを目的とした塗装変更や、車両自体の老朽化により、この塗装の車両は次第に減少。そして6月14日、「やくも」で運用されていた381系の国鉄色編成が引退したことで、国鉄特急色をまとった車両による定期列車は消滅しました。
国鉄特急色をまとった車両による定期列車は、実は2015年に一度消滅していました。さらに、2018年4月にJR東日本の189系が引退したことで、クリーム+赤の国鉄特急色が施された現役車両自体がなくなっていました。しかし、2022年3月、381系1本が国鉄特急色に復刻されたことで、約4年ぶりにこの塗装をまとった国鉄型車両が復活。この編成が、6月14日までの間、最後の定期運用を持つ国鉄特急色車両となっていました。381系自体は、今後も多客期に営業列車に投入されるようですが、国鉄色編成は6月で運用終了となっています。
なお、一般的に国鉄特急色というと、クリーム+赤のツートンカラーを指します。しかし、「国鉄が特急型車両に施した塗装パターン全て」と解釈すれば、JR東日本の185系電車、JR四国のキハ185系(復刻車両の2両のみ)も、国鉄特急色の車両とはいえそうです。ただし、185系電車に関しては、既に定期運用を持っていません。少なくとも、国鉄が制定した特急車両用カラーをまとう”電車”による定期列車は、いずれにせよ消滅しています。
そしてもう一つ、国鉄型車両ではありませんが、クリーム+赤の国鉄特急色をまとう車両が存在します。JR東日本の勝田車両センターに所属する、E653系K70編成です。臨時列車用として、2018年11月に新潟から勝田へ転属(営業運転開始は2019年2月)した同編成は、転属時に国鉄特急色に塗り替えられています。E653系K70編成は、国鉄型車両ではなく、定期運用も持たない車両ではありますが、今後も国鉄特急色をまとう現役唯一の車両として、活躍が続きます。