一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。まず1本目は、待望の「青春18きっぷ」の話題です。
日本全国のJR在来線で、普通・快速列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。毎年春、夏、冬の3シーズンに使用できるこのきっぷですが、2024年夏シーズンの利用期間が、7月20日に始まりました。
鉄道ファン以外からの人気も高い「青春18きっぷ」ですが、今年は年初からその動向がたびたび話題となってきました。例年であれば、2月ごろに1年分がまとめて発表されるのですが、今年は1月末に春用、6月に夏用と、バラバラに発表。1月時点では夏以降の発売が告知されていなかったことから、「『青春18きっぷ』は2024年春で発売終了となるのでは」と、SNS上で話題となっていました。
以前、鉄道コムがJR東日本に取材した際には、「バラバラ発表」の背景には、北陸新幹線延伸にともなう「おトクなきっぷ」の取り扱い一部変更があったと説明していました。その結果、今年の春用は、例年よりも少し早い時期の発表となっています。
今はまだ発表されていない冬用の動向が気になりますが、JR東日本では取材に対し、「現時点で青春18きっぷを廃止する予定はない」と回答していました。とはいえ、このように割安で、かつJR旅客全社で利用できるきっぷは、いつ消えてもおかしくない、と考えてしまう人がいるのも事実。今後も鉄道ファンをやきもきさせる状況は続きそうです。
もう一つご紹介するのは、自動運転の話題です。東芝インフラシステムズは16日、線路内に「地上子」などの設備を追加せずに「自動化レベルGoA2.5」に対応する自動運転システムの開発に、業界で初めて成功したと発表しました。
自動運転のレベルには、その内容に応じ、複数のレベルに区分されています。GoA2.5は、運転士資格を持たない添乗員が先頭部に乗車するタイプの自動運転。2024年現在は、JR九州の香椎線で本格導入されています。
香椎線のシステムの場合は、走行位置の補正などのため、線路上に地上子を設置する必要があります。一方、今回東芝が開発したシステムでは、GNSS(GPSを含む汎地球測位航法衛星システム)やINU(慣性計測装置)、ステレオカメラやLiDAR(レーザー光による測距装置)を活用することで、ほぼ車上側の装置のみで自動運転を実現しています。
鉄道業界に限った話ではありませんが、少子高齢化が進む今、人手の確保は重要な問題です。一方で、鉄道の運転士は国家資格で、養成に時間と費用がかかり、仮に欠員が出た場合、すぐに補填することは困難です。JR九州の自動運転は、そのような状況への対策として開発したということ。今回の東芝の自動運転システムも、人手不足が課題となる事業者の助けとなるのでしょうか。