鉄道コム

鉄道コらム

新幹線ホームでの「自撮り棒」使用は危険! 迷惑だけではない「切実な理由」とは

2024年12月28日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

スマートフォンで自撮りをしやすくするためのアイテム「自撮り棒」。最近は一時期よりも使用者が減っているようですが、それでも観光客が多い場所では、まだまだ使っている人を見かけることがあります。手持ち撮影時とは違った画角で写真を撮れるこのアイテムですが、一部の施設では、「建物や展示品を傷つけるおそれがある」として、使用を禁止しているところもあります。

スマホでの自撮りで使用する「自撮り棒」((c)blackday- stock.adobe.com)
スマホでの自撮りで使用する「自撮り棒」((c)blackday- stock.adobe.com)

そんな自撮り棒は、新幹線の駅でも使用のルールが定められている場合があります。たとえばJR西日本では、新幹線を含む同社管内のホームで、自撮り棒の使用を禁止。その理由は2つで、1つは「迷惑になりかねないから」なのですが、もう1つは「死亡事故につながるかもしれないから」という、とても重要なものです。

北陸新幹線の敦賀駅。この新幹線などを運行しているJR西日本では、ホームでの自撮り棒使用は全面禁止です
北陸新幹線の敦賀駅。この新幹線などを運行しているJR西日本では、ホームでの自撮り棒使用は全面禁止です

新幹線では、線路上にある電線(架線)から電気を得て走ります。同じように架線から電気を取って走る東京や大阪の在来線では、1500ボルトの直流の電気を使用しています。一方、仙台や札幌、金沢、福岡などの在来線では交流2万ボルト、新幹線では交流2万5000ボルトを使用しています。この交流というものが曲者で、架線に直接触れていなくても、近づいただけで感電するおそれがあるのです。もちろん、直流だから安全というわけでもなく、架線に付着物があり、それと自撮り棒が接してしまえば、同様の事故が起こりかねません。

電化区間では、残念ながら感電による事故は昔から多く、鉄道の保線や信号・電気・通信設備管理にたずさわる人たちの悲しい事故が、今も報告されています。鉄道のプロのはずの作業員ですら事故が絶えないのですから、その怖さが伝わってきます。

なお、JR西日本の広報担当者に聞くと、「ホームにおいて『長く伸ばした棒』を使用することが危険であるという認識から、その他の長尺物(釣り竿、薙刀、スキー板、弓、録音機材など)を高く掲げる行為につきましても禁止しています」とのこと。特に冬場はスキー・スノボのために新幹線を利用する方も多いでしょうが、駅では取り回しに注意が必要です。もちろん、駅や車内への自撮り棒の持ち込みは禁止されておらず、ホーム以外の安全な場所であれば、(当たり前ですが迷惑にならない範囲で)自撮り棒を使用できます。

ホームでの自撮り棒使用禁止を呼びかけるJR西日本のポスター。自撮り棒だけでなく、釣り竿やスキー板、録音機材などを高く掲げる行為が禁止されています(画像:JR西日本)
ホームでの自撮り棒使用禁止を呼びかけるJR西日本のポスター。自撮り棒だけでなく、釣り竿やスキー板、録音機材などを高く掲げる行為が禁止されています(画像:JR西日本)

ちなみに、全ての新幹線で自撮り棒の使用が禁止されているわけではなく、たとえばJR東海の広報担当者によると、同社の東海道新幹線では、駅のホームで自撮り棒の使用を全面禁止しているわけではないとのこと。ただし、危険性については変わらないため、使用する際は黄色い線の内側で、と担当者は説明しています。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道コらム

関連鉄道リポート

関連鉄道未来ニュース

鉄道コムおすすめ情報

画像

鉄道動画の撮影・編集のコツ

近年のカメラは、動画撮影機能も超充実! 鉄道カメラマンの助川康史さんが、鉄道動画の撮影のコツや編集方法などをご紹介します。

画像

「TX-4000系」導入検討

首都圏新都市鉄道が中期経営計画を発表。8両編成化事業の一環として、「TX-4000系」の導入も?

画像

西武が導入する「中古の新車」

小田急時代とどこが変わった?西武が導入する「サステナ車両」第一陣の8000系が報道公開。他の西武車の情報も。

画像

東急9000系が「赤帯」に

大井町線用の東急9000系9001Fが、デビュー時の正面「赤帯」デザインに。4月12日に運転開始。

画像

【PR】「リセマラ」推奨⁉ のデジタルスタンプラリー

ランダム性が楽しい若桜鉄道のスタンプラリー。豪華な賞品もある企画を体験しました。

画像

4月の鉄道イベント一覧

いよいよ新年度。鉄道旅行や撮影の計画は、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。