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「青信号」「赤信号」なしでも大丈夫! 東海道新幹線で初採用、「信号機がない」路線で安全に走る仕組みとは?

2024年9月28日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

鉄道では古くから、進行してよいか、速度をどれくらい出してよいかを、青、黄、赤の3色で制御する信号機が使われてきました。しかし、新幹線などの一部路線では、青信号や赤信号を表示する地上の信号機が設置されていないことがあります。

時速200キロ超、今では時速300キロ以上にも達する新幹線では、青信号や赤信号などを表示する線路脇の信号機は設置されていません
時速200キロ超、今では時速300キロ以上にも達する新幹線では、青信号や赤信号などを表示する線路脇の信号機は設置されていません

このような路線では、「車内信号方式」が使われています。文字通り、地上ではなく車内、つまり運転台に信号を設置した方式で、運転士はこれに従って列車を走らせています。この方式は、単に車内で信号現示(信号が示す表示)を確認できるもの、という意味なので、戦前に国有鉄道が試験をしていたように、信号機を単に運転台に移しただけ、というものもあります。しかし現在の日本の車内信号方式採用路線では、「ATC」という保安装置が一般的に使用されています。

ATC(Automatic Train Control)は、レールに電流を流し、信号を制御するシステム。大部分のATCは車内信号方式を採用しており、運転台の速度計付近に走行してよい速度を示します。この現示に従っている限り、先行列車と衝突する危険性はないという、非常に安全性に優れたシステムです。万が一現示速度をオーバーしてしまった場合でも、自動的にブレーキがかかります。

E5系新幹線のシミュレーター。下の緑のバーが現在の速度で、上の青のバーが現在出せる速度(時速320キロ)です(鉄道博物館にて、報道公開時に撮影)
E5系新幹線のシミュレーター。下の緑のバーが現在の速度で、上の青のバーが現在出せる速度(時速320キロ)です(鉄道博物館にて、報道公開時に撮影)

この車内信号式のATCが初めて採用されたのは、1964年10月1日に開業した東海道新幹線です。時速200キロ超で走る新幹線では、地上に設置した信号機を視認してからブレーキをかけてもタイミングが遅すぎると懸念されたため、運転席の速度計に走行できる速度を表示する仕組みが採用されました。現在の東海道新幹線では、開業当時のものより機能が大幅に向上した「デジタルATC」が導入されていますが、速度計に走行可能速度を表示するという基本的な仕組みは同じです。

車内信号式のATCは、在来線を走る山形・秋田新幹線を除く、全ての新幹線で採用。このほか、山手線や京浜東北線などの一部JR在来線、ほとんどの地下鉄、東急の東横線や田園都市線など、都市部の路線で採用されています。

相鉄20000系の速度計(が表示されるパネル)。画像では点灯していませんが、ATC設置路線(東急線内・地下鉄線内)の走行中は、速度計の周囲に出してよい速度を示す三角印が表示されます
相鉄20000系の速度計(が表示されるパネル)。画像では点灯していませんが、ATC設置路線(東急線内・地下鉄線内)の走行中は、速度計の周囲に出してよい速度を示す三角印が表示されます

なお、同じATCでも、地上に信号機を設置する方式(WS-ATC)もあり、1961年開業の地下鉄日比谷線などで採用されています。また、東海道新幹線より半月早い1964年9月17日に開業した東京モノレールでも、開業時より車内信号式を採用していました。しかし、こちらは先述した戦前試験された方式に似て、運転台に「青」「赤」などの信号機の色を表示するもの。分類上はATCではなく「ATS」とされていました。

近年は、ATCよりも高度化した車内信号方式の保安装置も登場しています。JR東日本では、無線を活用した保安装置「ATACS」を開発し、仙石線と埼京線池袋~大宮間に導入ずみ。また、国外では保安装置と運行管理システムを一体化した「CBTC」というシステムが普及しており、日本でも東京メトロや東急、西武などが導入を発表しています。

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