埼京線は、大崎~大宮間を結ぶ路線。東北本線よりも西側を通り、埼玉県南部や東京都北部を貫いています。そんな埼京線ですが、この路線名は実は「愛称」。正式な路線名は別に存在しています。
埼京線のうち、大崎~池袋間は山手線、池袋~赤羽間は赤羽線、赤羽~大宮間は東北本線が、それぞれ正式な路線名。特に赤羽~大宮間は本来の東北本線とは線路が大きく離れていますが、書類上は東北本線の別線として建設された区間となっています。
池袋~赤羽間の赤羽線は、もとは山手線の一部として開業した区間。山手線の新橋~池袋間と同じ1885年に開業していました。当初は東海道本線と東北本線(いずれも現在の路線名)をつなぐメインのルートとして活用されていましたが、1903年に田端~池袋間が開業した後は、山手線の支線という扱いに変わっていきました。
こういった成り立ちのため、埼京線開業前の赤羽線は、山手線との関係が強く、車両基地も同じ池袋電車区でした。同線で活躍していた103系は、当初はカナリア色(黄色)、後にウグイス色(黄緑色)をまとっており、埼京線開業時にもウグイス色が引き継がれていますが、これは山手線用車両のカラーリングの影響を受けたものでした。なお、103系を置き換えるために導入された205系では緑色の帯となっており、現在のE233系もこれを踏襲しています。
1985年に赤羽~大宮間の新線が開業した際、赤羽線は新線に組み込まれ、池袋~赤羽~大宮間が「埼京線」となりました。これ以降、赤羽線という路線名は駅などの案内では使われておらず、JR東日本の社内の扱い上は今も残るものの、一般利用者にはなじみのない名前となってしまいました。ただし、きっぷの経由表記には今も「赤羽線経由」と記載されることがあるほか、池袋~赤羽間にある踏切には、今も赤羽線という路線表記が残されています。