JR難波駅は、大和路線(関西本線)のターミナル駅。大阪環状線に乗り入れる「大和路快速」は同駅を通りませんが、大阪側の普通列車は全てが同駅発着となっています。
ただ、JR難波駅は、同じ「難波」(または「なんば」)を名乗る南海、近鉄、阪神、大阪メトロ御堂筋線の駅とは少し距離があります。戎橋やでんでんタウンは私鉄・地下鉄御堂筋線の駅の方が近く、JRの駅の位置は、どちらかというと難波エリアの外れ。千日前線のなんば駅は比較的近いものの、SNSでは利用者の「不便だ」と嘆く声が時折見られます。
今は「難波」を名乗るJR難波駅ですが、もともとは「湊町駅」という別の名前を名乗っていました。湊町駅が開業したのは1889年。当時は大阪鉄道という私鉄の駅でした。この後、現在の関西本線となる大阪~名古屋間の私鉄路線が開業すると、国営(官設)の東海道本線との競合が発生し、湊町駅は名阪間輸送バトルの舞台の一つとなっていました。残念ながら、1907年に関西本線が国に買収された後は、同線はローカル線的な扱いとなっています。
もとは地上駅だった湊町駅ですが、1994年に名前をJR難波駅に変更。そして1996年には現在の地下駅へと移転しています。これは、関西国際空港へのアクセスを意識したもの。現在の関空快速は大阪環状線内発着が基本ですが、空港開港当時はJR難波駅発着列車も多く設定されていました。ちなみに、JR西日本ではJR総持寺駅やJR五位堂駅など、私鉄の駅のように「JR」を冠した駅名を多く使用していますが、その始まりはここ、JR難波駅でした。
今では「不便だ」とも言われてしまっているJR難波駅ですが、近い将来、その立場が大化けする可能性があります。JR西日本などでは、大阪駅うめきたエリアから、なにわ筋の下を通って南下する新線「なにわ筋線」の計画を進めています。この路線は、途中でJR線方面と南海電車方面に分岐する形なのですが、JR線方面の線路が接続するのが、このJR難波駅。現在は行き止まり駅の同駅ですが、将来的には大阪駅や新大阪駅に乗り入れる列車が通る駅となる予定です。キタとミナミを結ぶ路線が通る駅となれば、利便性が向上し、JR難波駅のポテンシャルも大幅に向上するかもしれません。