国土交通省は、8月27日に公表した鉄道局の2025年度予算案概要請求において、「新空港線」の整備に向けた費用を計上しました。
新空港線は、東急多摩川線の矢口渡駅付近からトンネルを通り、蒲田駅の地下、京急蒲田駅の地下を経由し、京急空港線の糀谷~大鳥居間に至る、約4キロの新線。「蒲蒲線」とも呼ばれています。現在は、矢口渡~蒲田~京急蒲田間約1.7キロの第1期区間が、整備に向けた準備が進められている段階。この区間が整備されれば、現在は約800メートル離れている蒲田駅と京急蒲田駅が鉄道で直接結ばれ、蒲田駅や東急線方面と羽田空港のアクセス改善が期待できるとされています。
新空港線の整備に向けては、大田区と東急電鉄が出資する第三セクター「羽田エアポートライン」が、2022年10月に設立されています。同線の整備に際しては、「都市鉄道等利便増進法」に基づく制度を活用。国、自治体、整備主体(新空港線では羽田エアポートラインが該当)が、それぞれ事業費の3分の1を負担することになります。2025年度の事業費は9000万円の見込みで、国はうち3000万円を負担することが、今回の国土交通省予算案に盛り込まれています。
整備促進に向けた動きを進めている大田区では、この路線が開業すれば、蒲田駅と京急蒲田駅が結ばれることに加え、東急東横線や東京メトロ副都心線などとの相互直通運転が可能になり、大田区内から渋谷・新宿・池袋、埼玉県方面へのアクセスが便利になるとしています。まだ整備着手には至っていないこの新線ですが、実現すれば、東急線が絡む直通ネットワークは、大きく変わることになりそうです。
一方で、第2期区間である京急蒲田駅以東では、糀谷駅付近から京急空港線に乗り入れることが構想されています。東急線と京急線はレールの幅が異なり、そのままでは直通できません。大田区では、複数のレール幅に対応する車両「フリーゲージトレイン」の導入や、複数の幅に対応した線路とする「三線軌条」の採用、あるいは直通運転はせず、駅での対面乗換方式とするなど、あらゆる整備方法を検討するとしています。