この一週間(9月9日~15日)では、JR貨物の検査データ偽装問題や、「サンライズエクスプレス」用車両の修繕による運休発表と、鉄道関連の残念なニュースが次々と発表されていました。
さて、一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。今回は残念な話題ではなく、未来に期待できるニュース2本をご紹介します。
まず1本目は、小田急電鉄が発表した、新型ロマンスカーのニュース。同社は9日、2029年3月の営業運転開始を目指し、新たなロマンスカーの設計に着手したと発表しました。この車両は、30000形「EXE」の未更新車を置き換えるためのものですが、立ち位置は2023年に引退した50000形「VSE」の後継となるということです。
VSEは、観光需要を意識して開発されたロマンスカー。ですが、続く60000形「MSE」や70000形「GSE」は観光需要と通勤需要の双方に配慮した車両で、観光一辺倒な車両はVSEが最後となってしまいました。
小田急では、そのVSEの後継とする新型ロマンスカーについて、これまでの伝統や歴史、ロマンスカーブランドを継承しつつ、一層上質な移動時間を提供できる車両としていきたいと説明しています。2024年現在、新宿~箱根湯本間の所要時間は1時間半前後で、東武の「スペーシア X」やJR東日本の「サフィール踊り子」のように、上質なサービスを提供している時間的余裕はあまりありません。そのような環境下で、小田急はどのような車両を送り出すのでしょうか。
もう一つご紹介するのは、宇都宮のLRT「ライトライン」の話題です。2023年8月に開業し、すでに大成功と言える結果を残しているこの新世代路面電車。現職の栃木県知事である福田富一さんが、11月の知事選挙において、ライトラインと東武宇都宮線の「連携」を公約に掲げると発表しました。定例記者会見において、知事は「(両線の)接続、あるいは乗り入れ、いずれの選択肢もあると思う」と回答しています。
路面電車と一般鉄道の直通運転は、古くは(同じ会社ですが)広島電鉄の市内線と宮島線、近年でも福井鉄道とえちぜん鉄道のように、これまでにもいくつかの例があります。もちろん、これを実現するためには、ライトラインと東武で異なる架線電圧やホーム高さの対応、東武側の車両の対応など、さまざまな課題があります。しかし、そもそものライトライン自体が、宇都宮市や芳賀町といった行政が主体となって整備が進められてきたもの。携わる組織は異なりますが、自治体主導によって、新たな路面電車はさらに進化していくことになるのでしょうか。