鉄道友の会は26日、2014年の「ブルーリボン賞」に近畿日本鉄道50000系、「ローレル賞」にJR東日本E6系と福井鉄道F1000形を選定した。
近畿日本鉄道50000系は、伊勢神宮の式年遷宮に合わせ、伊勢志摩地域への観光特急用車両として導入。三重県の「志摩」地区に吹く風のイメージから、愛称は「しまかぜ」とした。2013年3月21日に、大阪難波~賢島間と近鉄名古屋~賢島間で運転を開始。2014年秋からは、京都~賢島間での運転も予定している。外観は、伊勢志摩地域の空と海を連想させる青を基調としたデザイン。先頭部は、青色の大型ガラス6枚による多面体デザインを採用した。乗車そのものを楽しむのをコンセプトとし、和・洋の個室、グループ向けサロン席、カフェ車両を設置。フルアクティブサスペンション(横揺れ軽減装置)も全車両に採り入れた。特急ネットワークを担っている点、同社の特急車両の中でフラッグシップ車両として位置づけられる点などが評価され、今回の受賞となった。近鉄の車両が同賞に選ばれるのは、2003年の21020系「アーバンライナー・ネクスト」以来、8度目となる。
ローレル賞に選定されたJR東日本E6系は、主に秋田新幹線用として開発された新在直通の新幹線車両で、2013年3月16日にデビュー。東北新幹線E5系との併結運転を前提に設計されており、営業運転の最高時速はE5系と同じ320キロ。先頭形状はロングノーズタイプとし、全車両にフルアクティブサスペンションや車体傾斜装置が導入された。在来線の車両限界という制約の中で高速性能を向上し、E5系と併結時の時速320キロ運転を実現したことが評価された。
福井鉄道F1000形は、同社初の全室低床式車両で、2013年3月31日に福武線で運転を開始。愛称は「FUKUI」と「TRAM」の造語で、「FUKURAM(ふくらむ)」とした。車体幅は2.6メートルで、国内の低床式車両では最大。鉄道線と軌道線(路面電車)との直通運用に必要な輸送力や車内設備を確保した点が高い評価を得た。同社のローレル賞受賞は初めて。
ブルーリボン賞は、毎年1回、前年に営業運転についた新型車両または改造車両から、鉄道友の会の会員が投票し、「ブルーリボン賞・ローレル賞選考委員会」が優秀と認めた車両に贈られる。昨年は、ブルーリボン賞に東京メトロの銀座線1000系が選ばれ、ローレル賞に選定された車両はなかった。ローレル賞が選定されるのは2年ぶりで、複数の受賞は2009年(豊橋鉄道T1000形、京阪電気鉄道3000系)以来となる。