JR西日本は19日、広島地区向けに、227系近郊形直流電車を276両新造すると発表した。同地区に新型電車が投入されるのは、JR発足後初めて。
227系は、同社の近畿圏を走る225系車両がベースで、最高速度は時速110キロ。車体はステンレス製で、基調色は外観・車内とも「広島らしさを感じさせる赤色」を用いる。車両には、同社が開発を進めてきた「新保安システム」を初めて搭載。従来のATS(自動列車停止装置)機能に加え、安全性向上を図る。同システムは、車両に登録した信号機や速度制限箇所の位置などのデータベース情報と、地上側からの信号表示などの情報をもとに列車を制御するもので、停車駅での停止位置の大幅なずれや、ホームがない方向のドアが開くことを防止できる。山陽本線の白市~岩国間で地上設備などを整備後、同システムの使用を順次開始する。このほか、ドアにはさまれた傘などを引き抜こうとした際、戸先ゴム内の圧力変動をもとに音声警報と表示灯により運転士に知らせる機能や、運転台の計器類の液晶画面表示装置を新たに採用。同社の新型車両521系3次車などで導入している車両異常挙動検知装置や先頭車間転落防止ホロも取り付ける。車内設備では、荷物棚の端、手すりの曲線化、つかまりやすい形状のつり手や手すりの採用に加え、バリアフリー対応として、多機能トイレ、車いすスペース、ドア開閉ランプの設置などをおこなう。室内灯、車内表示装置、列車種別・行先表示はLED化する。
新造する編成数は、3両編成が64本と2両編成が42本。2014年度に43両を投入し、2018年度までに計276両を導入する。運用区間は、広島エリアの山陽本線、呉線、可部線。227系の導入により、115系車両などを置き換える。広島支社管内では国鉄時代の電車が運行しており、約30年ぶりの新型電車導入となる。