JR東日本は2日、新型通勤電車として、E235系の量産先行車を新造すると発表した。2015年秋ごろから山手線で営業運転を始める。
E235系の先行車は11両編成で、うち10両を新造し、1両は既存車両を改造する。先頭部の形状は、現行のE231系のデザインを継承しつつ、正方形に近い形に。先頭部の縁取りと下部は黄緑色とし、運転席の窓の周りは黒色にする。前面の大きな窓と行先表示装置などを通じ、デザインコンセプトの「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」を表現する。車内の液晶ディスプレイを増備し、車内広告は液晶表示によるデジタルサイネージを採用するほか、スマートフォンで車内の情報が把握できる「トレインネット」も完備する。車内は、空間を広く感じさせるデザインとしつつ、座席は一人あたりの座幅を1センチ広げ46センチに。また、各車両にフリースペースを設け、車椅子やベビーカーなどを利用しやすくする。優先席は1両あたり3席増やすとともに、視認性を高める。
量産先行車の主制御器には、次世代パワー半導体である炭化ケイ素(SiC)を用い、電力ロスを減らす一方、回生ブレーキによる回生エネルギーを増やす。コンプレッサー(空気圧縮機)は、潤滑や冷却で使用する油を不要とした電動空気圧縮機を同社で初めて使用。照明のLED化などとあわせ、環境負荷を軽減する。このほか、車内と車外との情報ネットワークを強化。機器類の状態を常時監視し、故障の予兆把握と事前対処を行うなど、安全性を向上させる。車体は、山手線で現在運用されているE231系500番台と同じステンレス製としたうえ、衝突に強い「耐オフセット衝突構造」を採り入れる。最高速度は、E231系500番台と同じ時速120キロ。
2015年3月以降に落成した後、走行試験を実施。山手線で、同年秋ごろから営業運転を始める。
現行の山手線車両E231系500番台は、2002年にデビュー。同車両の投入により、山手線では2005年までに国鉄型205系車両がE231系に置き換わった。