東京メトロは19日、日本の鉄道事業者として初めて、全列車の位置情報や遅延時間にかかる情報を、「オープンデータ」として公開することを発表した。また、オープンデータを活用したアプリ(アプリケーション)のコンテストを実施し、優秀作には賞金として最高100万円を贈ることを明らかにした。
東京メトロが新たに公開するのは、東京メトロ全線の列車位置、遅延時間等にかかる情報。具体的には、方向、列車番号、列車種別(普通、特急、急行、快速、臨時)、始発駅・行先駅、車両の所属会社、在線位置(ホーム、駅間の2区分)、遅延時間(5分以上の遅延のみ)で、加工しやすいオープンデータとして公開する。試運転や回送列車などの非営業列車のデータは公開しない。データは1分間隔で更新し、リアルタイムの情報を提供する。
同社は、公開したオープンデータを使用したアプリを、コンテスト形式で募集する。応募のあったアプリの中から1点に賞金100万円、計8点に総額200万円を贈る。個人、グループ、法人を問わず誰でも応募可能で、同社の開発者サイト内のフォームから応募する。「オープンデータ活用コンテスト」の募集期間は、2014年9月12日(金)から11月17日(月)まで。
オープンデータ化の取り組みは、東京メトロの創立10周年を記念した取り組みの1つ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、オープンデータを活用したアプリを募集し、公共交通機関としてのサービスのあり方を探りたいとしている。なお、コンテスト終了後にもデータの公開を継続するかは未定だが、「年度いっぱいはデータを提供する」としている。
公共交通分野におけるオープンデータ化を推進する、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所によると、海外では、鉄道事業者がオープンデータを公開することにより、鉄道のサービスレベルが大きく向上しているという。鉄道事業者が自らアプリを製作するよりも、一般の開発者が自由な発想でアプリを製作して発信した方が、利用者の目線に近い形で情報が共有され、結果的に鉄道サービスの向上につながるとしている。