JR北海道は10日、新型特急気動車キハ285系の開発を中止すると発表した。2014年9月末に落成予定の同車両の試作車について、在来線用総合検測車への転用を検討することも明らかにした。
キハ285系は、所要時間の短縮を主な目的として、同社が開発を進めてきた特急気動車。振子装置に空気バネ車体傾斜を付加した「複合車体傾斜システム」、既存の気動車の動力システムに、バッテリー、インバーター、モーターの動力を組み合わせた「MAハイブリッド駆動システム」を搭載し、スピードアップと省エネルギーの両立をめざしていた。同社は、2011年4月に試作車の設計、製造に着手し、2014年度は試作車の性能確認試験を行うとしていた。しかし、試作車を製作している間、同社では事故や不祥事が相次ぎ、安全対策を優先するため、特急列車の最高速度の引き下げなどを実施。2013年9月に起きた大沼駅構内での貨物列車脱線事故を受け、9月19日を「保線安全の日」と定めるなど、安全最優先を打ち出した。同社では、高速化よりも安全面を重視した上で、キハ285系がコストとメンテナンス面で過大な仕様であること、北海道新幹線の開業準備を優先させる必要があることから、開発を中止することにした。今後、老朽化した特急気動車の置き換えには、「スーパーとかち」「スーパー宗谷」で使われているキハ261系を当面の間、新製する。既存の車両に統一することで、メンテナンス性を高める。
キハ285系の試作車は、川崎重工業で製造中で、今月末に3両が落成する。同社では、今回の試作車を在来線での軌道や電気設備を検査する総合検測車に転用するなど、活用方法を検討するとしている。