JR東日本と東日本鉄道文化財団は5日、さいたま市の鉄道博物館に新館を設け、2017年秋に開業すると発表した。現在の本館とあわせて、全面的にリニューアルする。
鉄道博物館の新館(仮称)は、地上5階建てで、展示面積は約4800平方メートル。展示ゾーンは「ステーション」と名付け、各ステーションにテーマを設けて各階に配置する。1階は「仕事」のステーション。「体験型ミュージアム」と位置づけ、駅員、運転士、車掌のほか、指令員やメンテナンス関係の仕事も体験できるようにする。きっぷの発券、列車無線による交信、打音検査、新型車両のデザイン設計などのプログラムを用意するほか、新幹線車両400系とE5系の展示、E5系のシミュレーターも設ける。2階の「未来」のステーションでは、来場者の分身(アバター)が映像ジオラマを通じて未来の駅や鉄道を体験。3階の「歴史」のステーションでは、明治から平成までを6つの区分に分け、その当時の人々の視点で資料や映像を見学できるようにする。4階は「旅」のステーションとし、鉄道旅行の疑似体験を実施。「実感型ミュージアム」として、プロジェクターを使い、さまざまな列車、車窓、駅弁などを投影する。5階にはレストランを設ける。新館は吹き抜け構造とし、自然光を多く取り込むほか、建物上部に集まる暖気を季節によって制御するなど、環境に配慮した設計にする。新館の建設予定地は、現在の鉄道博物館本館の南側。
同社では、新館建設にあわせ、2007年秋にオープンした本館のリニューアルも行う。1階では現在の「ヒストリーゾーン」を一新。「車両」のステーションとし、躍動感を持たせた演出を施す。2階と3階では「ラーニングゾーン」をリニューアルし、「科学」のステーションにする。本館ではこのほか、模型鉄道ジオラマの全面的な更新、各種インフォメーションの多言語対応も行う。
鉄道博物館の新館建設と本館のリニューアルは、JR東日本設立30周年と鉄道博物館開館10周年にあわせて実施。開業時期は、2017年秋を予定している。開業後の展示面積は、現在の約1.5倍になる見込み。