埼玉高速鉄道は1月29日(木)、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続き)が成立したと発表した。
同社は第三セクター方式で1992年に設立され、2001年に開業。開業後は当初の見込みを下回る利用者数にとどまり、2004年に経営健全化計画、2010年に経営改善計画を策定したが、経営自立の達成が困難となったため、事業再生ADRによる事業再構築を進めていた。1月29日に開催された第3回債権者会議にて、同社の事業再生計画案に対して全対象債権者から同意書の提出があり、事業再生ADR手続きが成立した。
事業再生ADRとは、経済産業大臣の認定を受けた公正かつ中立な第三者が関与することにより、過大な債務を負った事業者が法的整理手続によらずに債権者の協力を得ながら事業再生を図る手続きのこと。
今回の手続きでは、主に、同社が建設時に借り入れた有利子負債を縮減し、元利償還の負担を低減することで事業再生が図られる。
同意事項によると、金融機関は、322億円の債権放棄、埼玉県に対し63億円の債権譲渡、27億円の償還期間の延長を行う。また、鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、支払債権の485億円の償還期間を延長し、自治体(埼玉県、川口市、さいたま市)は、金融機関が債権放棄する貸付債権、および埼玉県に譲渡される貸付債権に対して、「第三セクター等改革推進債」を通じて損失補償を行うほか、196億円の債務の株式化、41億円の償還期間の延長などを行う。
同社は、事業再生計画に基づく経営再構築の推進により、事業再生ADR手続き成立後の初年度となる2015年度からの営業損益および経常損益の黒字化を目指して経営改善を図っていくとしている。