日立製作所は21日、香港の地下鉄システム向けに、香港鐡路有限公司から、蓄電池式回生電力貯蔵装置(B-CHOPシステム)2台を受注したと発表した。リチウムイオン電池を適用した回生電力貯蔵装置が香港の鉄道輸送システムに導入されるのは今回が初めて。
B-CHOPシステムは、電車が停止する際や減速する際に生み出される回生電力を鉄道の変電所に設置された蓄電池に一時的に貯蔵し、電車の走行時に必要とされる電力として再利用することで、鉄道運行に必要な総電力量を削減するシステム。蓄電池は、主に自動車用リチウムイオン電池の開発・製造を行う日立ビークルエナジー製の車載用リチウムイオン電池が使用される。
今回、日立が提供するB-CHOPシステムは、香港九龍(カウルーン)両市街からランタオ島沖の香港国際空港を結ぶ全長約35キロの機場快線(Airport Express Line)と、中環から荃湾までを結ぶ全長約16キロの荃湾線(Tsuen Wan Line)。各路線にある変電所のうちの各1箇所にB-CHOPシステムを設置し、1年間の省エネルギー効果検証を経て、将来的には香港の地下鉄全路線にB-CHOPシステムが導入される計画となっている。受注したB-CHOPシステムは、2015年11月までに納入され、2016年2月以降に運用が開始される予定。
日立は、今回の香港での実績を生かし、環境にやさしい鉄道システムを、地下鉄やモノレールなどの新交通システムの導入が進んでいる東南アジア地域などに拡販し、さらなるグローバル展開を加速していくとしている。