日立製作所は10日、三井物産、Hitachi India Pvt. Ltd.(日立インド)と現地の鉄道車両製造・エンジニアリング企業の4社のコンソーシアムで、インド鉄道省傘下の貨物専用鉄道公社(DFCCIL)から、デリー~ムンバイ間貨物専用鉄道計画のうち、ハリヤナ州レワリからグジャラート州ヴァドダラまでの区間(915キロ)の信号・通信設備および施工(パッケージ5)を約280億円で受注したと発表した。
また同時に、日立製作所、三井物産、日立インドの3社は、コンソーシアムで、ハリヤナ州レワリからマハラシュトラ州JNPT(ムンバイ)までの区間(1337キロ)の自動列車制御システムおよび施工(パッケージ5A)を約110億円で受注した。これら2つの受注は、インドにおける日本製の信号設備受注として過去最大規模となる。
同プロジェクトは、近年の急激な経済成長に伴うインド国内貨物輸送の需要を満たすことを目的としたもので、デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタの4大都市を結ぶ貨物専用鉄道(Dedicated Freight Corridor)プロジェクトの西回廊(デリー~ムンバイ)部分にあたる。
パッケージ5では、日立製作所がコンソーシアムリーダーとなり、信号設備における主要機器の製造を担当し、三井物産がDFCCILや日印関係機関との全体的な調整を行う。また、日立インドが現地製品の調達およびDFCCILへの供給を行う。供給する鉄道用信号・通信設備は、列車中央監視装置、電子連動装置、踏切自動警報装置、これらの各装置などを結ぶ通信システムなど。
パッケージ5Aでは、日立製作所がコンソーシアムリーダーとなり、自動列車制御システムにおける主要機器の製造を担当し、三井物産がDFCCILや日印関係機関との全体的な調整を、日立インドが現地製品の調達およびDFCCILへの供給、施工を行う。供給するTPWS(Train Protection and Warning System)は、欧州列車制御システム(ETCS)規格に準拠した製品。ETCS規格は、都市間鉄道向けの列車制御システムであり、欧州で国境を超えた路線間の相互乗入を実現すべく規格化されたもの。同システムでは、地上から車上へ伝送される信号に基づき、車両ブレーキの自動制御を行い、列車の衝突を回避する。
日立製作所は、これら2つのプロジェクトにより、日本と同様の安全で効率の良い列車運行システムを提供していくとともに、日本の鉄道技術の導入を通じてインドの更なる経済発展に貢献していくとしている。