JR北海道は17日、石勝線の新夕張~夕張間(16.1キロ)について、鉄道事業を廃止する申し入れを沿線自治体の夕張市に伝えた。
石勝線の新夕張~夕張間は、かつての夕張線(追分~夕張間)の一部区間で、現在では石勝線の支線という位置づけ。2015年度の同区間の利用客数は、1キロあたり1日平均118人で、同社が発足した1987年度の同1129人に比べ、10分の1に減少している。2014年度は、年間約1億8000万円の赤字を計上した。
同社は2016年7月29日に、「『持続可能な交通体系のあり方』について」を発表。赤字路線を含む路線網の見直しを始める方針を示した。同8月8日に、新夕張~夕張間の沿線自治体の夕張市長より、線区の廃止を見据えた持続可能な交通体系の構築についての提案があり、同社は同区間の今後について検討。鉄道事業の廃止を決定し、同17日に夕張市長に正式に申し入れをおこなった。廃止時期については、協議を経て、別途提案するとしている。
新夕張~夕張間では、使用を始めて100年近く経ったトンネルや橋りょうなどの土木構造物がそのまま使われている箇所があり、老朽化が進行。同社では、土木構造物の抜本的な対策に伴う維持更新費の負担が大きいなど、鉄道事業を維持するのが困難とし、今回の廃止決定となった。新夕張~夕張間の現在の運転本数は上下10本で、普通列車のみが運転。並行する路線バスは、新夕張~南清水沢間で上下11本、南清水沢~夕張間で同20本が運行している。
同区間の廃止は、JR北海道の路線では、2016年12月に予定されている留萌本線留萌~増毛間の廃止に次ぐ決定となる。