JR九州は26日、新型車両2形式を導入すると発表した。導入されるのは、「821系」近郊型交流電車と、「YC1系」蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両。
今回導入される2形式は、老朽化した車両の置き換えが目的。開発コンセプトを「やさしくて力持ちの鉄道車両」とし、旅客に配慮した車内設備と、最新技術を駆使した機器類の搭載を行い、JR九州の今後を担う車両とした。
821系は、「JR九州No.1の省エネ車両」を掲げる近郊型車両。当初は3両編成2本が製造される。車体は815系や817系に類似するデザインで、車内はロングシートとする。また、開発コンセプトの「やさしい」では、車いすやベビーカー用スペースの1編成あたり2箇所の設置、環境負荷への対策としてフルSiCを採用した主回路システムの導入を行うほか、「力持ち」では、安全・安定輸送の追求として、床下主要機器へ冗長性を持たせることで信頼性の向上につなげる。
YC1系は、「JR九州初のシステム搭載車両」を掲げるハイブリッド車両。ディーゼルエンジンにより発電し、モーターを回すディーゼルエレクトリック方式を採用する。車体は裾絞りの無い狭幅とし、車内では一部にボックスシートを配置したセミクロスシートとする。開発コンセプトの「やさしい」では、ハイブリッド車両としたことによる環境負荷への対策のほか、乗降扉の段差を無くしたことによるバリアフリーへの配慮、3箇所設置する乗降扉によるスムーズな乗降の実現を行う。また「力持ち」では、蓄電池アシストによる効率的な走行性能の実現や、電車部品との共通化を行うことによる気動車特有の不具合の低減などを目指す。
このほか、両形式共通の設計では、「やさしい」として座席幅拡大やホームへの照明の設置、LED照明やスマートドアの採用、4か国語対応の案内表示器の設置を、「力持ち」として「台車個別制御ブレーキシステム」や状態監視システム搭載による安全・安定輸送の追求、搭載機器類の共通化によるコスト低減などを考慮する。
搬入時期は、821系が2018年2月末、YC1系が6月末の予定。JR九州は、車両搬入後に営業運転や量産化に向けた走行試験を行い、性能評価を実施していくとしている。