東京都交通局は11日、浅草線に投入する新型車両、5500形を報道公開した。
5500形は、浅草線では20年ぶりの新車。2020年に開業60周年を迎えるリニューアルプロジェクトの第一弾として導入し、既存車両である5300形の全27編成を置き換える。
5500形のコンセプトは「日本らしさとスピード感が伝わる車両」。羽田・成田という国際空港を結ぶ路線を走るため、国際的に日本のイメージとして知られる表現や、疾走するスピード感を表したデザインとした。
5500形の車体は、総合車両製作所の「Sustina」を採用したオールステンレス仕様。先頭部のデザインは、日本のイメージとして一般的で、かつ浅草線沿線とゆかりのある歌舞伎の隈取りを現代風にアレンジ。側面へ流れるラインとあわせ、躍動感やスピード感を感じるものとした。
車内は、沿線の象徴的な観光資源と日本らしさを感じるデザイン。車両側面の化粧板は和紙を、妻面は竹をイメージした。さらに、ロールカーテンや妻面貫通扉ガラスには浅草寺などの沿線観光施設のイラスト、袖仕切りガラスには江戸切子などと、随所に「和」を取り入れた。また、乗降扉脇スペースを拡大し、立ち客や大型荷物を持つ旅客に配慮。これにより、乗降扉間の座席数は5300形の8席から7席へと減少したが、座席幅は475ミリメートルへと拡大した。このほか、フリースペースの全車両への設置、吊り革の増設、乗降扉上への液晶式車内表示器の設置、防犯カメラの設置など、サービス向上やセキュリティ対策への配慮もされている。
性能面では、東京都交通局では初となる、SiC素子を採用したVVVFインバータ制御装置を搭載。1つの制御装置で4個の主電動機(モーター)を回す1C4Mとし、1~3・6~8号車の各車に制御装置を搭載する。主電動機は全閉自冷式で、出力は155キロワット。8両編成中6両が電動車である6M2Tとなったこととあわせ、運転最高速度は時速120キロメートルへと向上。将来の京成電鉄成田スカイアクセス線での運用にも対応した。また、連結器は密着連結器へと変更。さらに電気連結器も搭載する。これは新宿線10-300形と同様に救援を目的としたもので、営業運転での使用は想定していないという。
5500形の営業運転開始は、2018年6月30日。他社線での習熟運転が終了しておらず、当初は限定された運用のみに充当するという。