JR東日本は3日、新幹線試験車両「ALFA-X」のデザインと開発状況を発表した。
ALFA-Xは、次世代新幹線の開発を進めるための試験プラットフォームとして、JR東日本が設計・製作する車両。車両の愛称は「最先端の実験を行うための先進的な試験室(車)」を意味する。形式はE956形とし、2019年5月の落成を予定する。
車両は、トンネル突入時に発生する圧力波の抑制を目指すため、2種類の先頭車両形状を製作する。東京寄り先頭車の1号車は、E5系とほぼ同じ先頭長とし、圧力波の抑制と室内空間確保を両立する。先頭部の形状は、「削ぎ」や「畝り」、「拡がり」といった、風の流れによって作られる要素を取り込む。新青森寄り先頭車の10号車は、先頭長を従来より延長し、トンネル突入時の圧力波を抑え環境性能を追求する。先頭部の形状は、台⾞部を覆うせり出した造形、運転士を包み込む造形、後方に向けて滑らかにつなぐ造形の、3つの造形で構成する。
カラーリングは、周囲の色を取り込む明るいメタリックボディに、自然、都市間における人々の活発な行き交いを現したグリーンの帯を合わせる。また、ALFA-Xによって人々や情報がより親密に行き交う様を、クロス状の側帯で表す。
ALFA-Xのロゴマークは、文字をクロス状の側帯角度に合わせて整え、ALFA-Xの特徴であるIoTやAIなどのデジタルなイメージを表す。また、一部にグラデーションを用いることで、新幹線らしいスピード感と、先進的な技術を採用した新幹線が明るい未来に繋がることを表現する。
同社はあわせて、ALFA-Xが実施する試験内容の詳細についても発表した。安全性・安定性の追求として、地震発生時の制動距離低減のために「空力抵抗板ユニット」や「リニア式減速度増加装置」を搭載するほか、地震対策ダンパや台車モニタリングシステム、着雪しにくい車体構造を試験する。快適性の向上としては、動揺防止制御装置を搭載。環境性能の向上としては、2種類の低騒音パンタグラフを搭載する。メンテナンスの革新においては、地上設備や搭載機器のモニタリング装置を搭載。状態基準保全(CBM)の実現を目指すとしている。さらに、将来の自動運転を目指す上で必要となる機能の基礎研究も実施する。