近江鉄道は12月18日、同社が手がける鉄道事業の経営状況について公表した。
近江鉄道線の輸送人員は、2017年度時点で479万人。1126万人を記録した1967年度の半分以下となっているが、2006年と2008年の新駅開業などにより、最も低かった2002年度の369万人からは約100万人増加している。
同社は新駅の開業以外でも、「ビア電」などのイベント列車運行、「鉄道むすめ」などのグッズ販売、「がちゃこん祭り」などのイベント開催などを手掛けてきた。また、人員削減や無人駅の拡大にも取り組み、収支改善に向けた取り組みを進めてきた。
しかしながら、同社鉄道事業の営業損益は、1994年度を境に赤字に転落。2017年度には3.5億円の営業赤字となり、1994年度から2017年度までの累計赤字は40億円を超えている。同社線の営業損失額は2015年度には2.8億円で、全国で10番目、第三セクターを除いた民間事業者では5番目の額となっていた。また、同年度の営業係数は125で、100円の利益を得るために125円の費用が必要な状況となっている。
現在の同社線の輸送密度は、多くの線区が路線維持が難しい基準とされる2000人を下回っている。一方で、通勤通学時間帯の最混雑列車では100人を超える区間がほとんどで、バスなどで代替することも難しいとする。同社の車両基地は彦根電車区1か所のみとなっており、電車区に接続しない線区を独立して運行することは不可能なため、今後は「路線全体のあり方を検討することが必要」だとしている。
今後は、高齢化が進行することで公共交通機関の需要増加が見込まれる一方、長期的には沿線人口が漸減することが予想されている。また、施設の老朽化にともない、設備投資見込額は増加している。近江鉄道は、「今後も営業赤字を解消することは困難な見通し」としている。