JR東海は25日、次期新幹線車両「N700S」量産車の仕様と投入計画を決定したと発表した。
N700Sでは、安全性・安定性の向上、異常時対応力の強化、快適性・利便性の向上、ランニングコストの低減が図られる。2018年3月に落成したN700S確認試験車の走行試験を踏まえ、量産車の仕様を決定した。
安全性・安定性では、ATCとブレーキシステムを改良し、地震発生時のブレーキ距離をN700Aタイプから5パーセント削減する。また、台車カバーの形状変更や融雪ヒーターの設置などにより、着雪を防止し列車遅延を低減する。このほか、大容量のデータ通信により状態監視機能を強化し、各機器をより高精度にモニタリングする。
異常時対応力では、バッテリ自走システムを搭載し、災害発生時などの停電時でも自力走行を可能とする。また、防犯カメラの増設、通話装置の機能強化、停電時におけるトイレ機能の確保などを盛り込む。
快適性・利便性では、従来より制振性能の高い「フルアクティブ制振制御装置」をグリーン車、先頭車、パンタグラフ搭載車両に設置。乗り心地を向上する。また、モバイル用コンセントを、全座席に設置する。
ランニングコスト低減では、先頭形状を走行抵抗が減らせる「デュアルスプリームウィング形」とするほか、制御装置にSiC素子を採用し、消費電力をN700Aタイプから6パーセント削減する。また、パンタグラフやブレーキ装置の摩耗部品を長寿命化し、交換周期を2倍とすることでメンテナンス作業を省力化する。
N700S量産車は、2020年度から2022年度にかけて導入。2020年度は12本、2021~22年度は各14本、計40本を投入する。うち、一部の編成には次期軌道状態監視システムを搭載する。
JR東海は、N700Sの投入により、N700系を置き換えるとしている。あわせて、N700Aタイプを対象に、N700Sの一部機能を追加する改造工事も実施する。