鉄道総合研究所は28日、新たな燃料電池ハイブリッド試験電車が完成したと発表した。
新たな試験電車は、従来から使用してきた試験電車「R291系」の機器類を換装したもの。燃料電池は、従来よりも高出力密度化した物に変更。さらに冷却装置の分散配置などにより、電池出力が50%向上し、出力当たりの体積も20%削減した。また、燃料電池用の電力変換装置にはSiC(炭化ケイ素)素子や小型遮断器を採用し、体積の45%減少を実現した。
従来の試験電車では、電力変換装置や燃料電池モジュールといった機器類の一部を車内に設置していたほか、加速性能もディーゼル車並みとなっていた。今回新たに小型化・高性能化した機器類へと換装することで、全ての走行用機器類の床下への設置と、従来よりも向上した時速2.5キロ毎秒の起動加速度などを実現した。
鉄道総研では今後、所内試験線での走行試験により、エネルギー効率向上を目指したバッテリー・燃料電池ハイブリッドシステムの制御方法改良や、燃料電池への負担が小さい制御方法などの研究開発を進めるとしている。