JR東海は15日、在来線に新たな概念に基づいた降雨運転規制を導入すると発表した。
同社では、駅などに設置した147か所の雨量計を用い、降雨量が規制値に達した際に徐行や列車抑止を実施することで安全を確保している。同社が新たに導入する降雨運転規制では、「土壌雨量」と「土石流発生危険度評価システム」を用い、より一層の安全確保を目指す。
土壌雨量を用いた運転規制は、土壌中に浸み込んでいる水分量を考慮するもの。現在は過去1時間の降雨量「時雨量」と、降り始めからの単純な累積の「連続雨量」を用いているが、土砂災害の発生危険度は土壌が含む水分量によって高まるため、新たな指標を用いる。
土石流発生危険度評価システムは、渓流ごとに現場調査を実施したうえでそれぞれの地形、地質を考慮した評価システムを構築するもの。これまでの基準では、線路から離れた場所での土石流発生危険度が高まったことを事前に把握し、運転規制を実施することは困難だったという。新たに導入するシステムでは、渓流域のレーダー雨量から土石流発生の危険度をリアルタイムに評価でき、危険度が高まった渓流を含む運転区間に警報を出し、運転規制を実施することができる。
新たな降雨運転規制の使用開始時期は、6月1日。なお、土石流発生危険度評価システムを鉄道の運転規制に取り入れるのは国内初の事例になるという。