JR東日本は27日、鉄道施設等の浸水対策についての方向性を発表した。
2019年10月に発生した台風19号では、千曲川の決壊によって北陸新幹線の長野新幹線車両センターが浸水し、各施設や留置中の車両が被害を受けた。同社ではこれを受け、今後浸水が想定される鉄道施設や車両の浸水対策について検討してきた。
長野新幹線車両センターについては、昨年浸水した設備、および計画規模降雨により浸水が想定される設備のうち、本線や車両基地内への電力供給・信号制御を担う電気設備については、万一の際に列車の運行へ大きな影響を与えるため、設備のかさ上げが必要となる。また、車両検修庫等については、止水板や止水壁の設置が必要としている。その他の車両基地操業に必要な機器等については、予備品の確保や他箇所での代替による機能確保が必要としている。
その他の車両基地等については、洪水などで浸水した場合に列車が運行不能となる設備を対象とする。かさ上げや止水板の設置等のハード対策、予備品の確保や代替設備の活用等のソフト対策を、各設備の重要度に応じた対策を設備ごとに検討するとしている。ハード対策を検討している対象は、現時点で最大約400箇所程度を想定しているという。
なお、長野新幹線車両センターなどの一部施設は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が財産を所有し、JR東日本に貸し付ける形となっている。そのため、同社では鉄道・運輸機構と協議の上、対策を進めていくとしている。
また、長野新幹線車両センターの浸水事案では、留置中の新幹線車両が避難できなかったことも問題となった。同社ではこれを受け、車両避難対策も発表。ハザードマップ等を活用して、浸水被害が想定される車両留置箇所を抽出し、それぞれの箇所毎に車両避難の判断を支援する指標を整備する。この指標に加え、台風の進路等の一般の気象情報を含めて車両の避難を総合的に判断し、台風などの異常気象時に車両の浸水被害防止を図るとしている。