JR東日本は3日、2021年春に実施するダイヤ改正において、終電時刻を繰り上げると発表した。
繰り上げ対象となるのは、主に東京100キロ圏内の路線。終電から始発列車までの間隔(列車間合い)を240分程度確保することを念頭に、終電時刻を30分程度繰り上げ、終着駅の到着時刻を概ね1時ごろとする。また、一部の路線では、始発列車の時刻繰り下げも実施する。
同社は、終電時刻の繰り上げについて、新型コロナウイルスの感染拡大による利用者の減少、および夜間の作業時間確保という課題を理由に挙げている。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、行動様式の変化が生まれたことにより、鉄道の利用者は大きく減少している。山手線では、新型コロナウイルス感染拡大前後を比較すると利用者は38%減少。このうち、終電付近のみを比較すると、66%減と大きく減少している。同社は、テレワークやEコマースの普及により、鉄道利用者は以前の水準には戻らないと推測。この状況下で、安全かつ利便性の高い鉄道サービスを提供するには、利用者の変化に柔軟に対応する必要があると説明している。
また、新型コロナウイルスの感染拡大以前から、少子高齢化による労働人口の減少で、線路保守要員の確保が困難となりつつある問題もある。同社では、今後10年で1~2割の作業員が減少すると見込む一方、設備の老朽化や、ホームドアなどの新規設備の増加によって、工事量が過去10年で約1割増加していると説明。スマートメンテナンスなど従来から進めてきた作業効率化の取り組みに加え、作業可能時間帯を増やす必要があるとしている。
終電時刻の繰り上げは、2021年春のダイヤ改正で実施する予定。実施線区や内容については、10月ごろに発表するとしている。また、朝の通勤時間帯を含むその他の時間帯についても、利用状況を踏まえたダイヤの見直しを進めるとしている。