JR東日本は3日、GNSS(全地球航法衛星システム)や携帯無線通信網(4G・LTE回線)を活用した、ローカル線向けの新たな列車制御システムの開発を進めていると発表した。
新たな列車制御システムは、GNSSにより列車位置を把握し、携帯無線通信網で地上~車上間の情報を伝送するもの。踏切制御や列車速度の制御が可能なシステムで、GNSSや4G・LTE回線を使用するものでは世界初という。
同社では、埼京線や仙石線で、無線制御システム「ATACS」を導入しているが、新たなシステムとは異なり、専用無線回線を使用している。新たな列車制御システムでは、一般の携帯電話回線を活用するため、災害等で通信輻輳が発生し、列車の運行が不能となる可能性があるものの、一般無線回線を活用することで、ATACSよりもコストを削減できる。
同社は当初、列車制御システムのうち、踏切制御機能の試験を実施する。従来の踏切では、列車走行位置や踏切の制御、踏切内障害物の検知・伝達などに使用するため、ケーブルを多数敷設している。新システムでは、列車走行位置はGNSS、列車接近による踏切の制御や踏切内障害物の伝達は携帯無線通信網を活用することで、踏切制御に関わるケーブルを大幅に削減する。また、踏切内の異常を検知した場合、従来では運転士による手動でのブレーキ操作が必要だったが、新システムでは自動ブレーキ制御が可能となる。新システムの導入で、設備の減少による輸送安定性の向上や、メンテナンスコストの約20%の削減を目指すとしている。
JR東日本は、9月から2021年1月にかけて、八高線高崎~高麗川間において、GV-E400系を使用して試験を実施する予定。その後、試験結果を評価した上で、2024年度の導入を目指すとしている。なお、列車速度制御機能については、2021年度の試験を予定している。