川崎重工業は2日、同社の鉄道車両製造事業を、2021年10月に分社化すると発表した。
川崎重工業では、社内カンパニー「車両カンパニー」が車両事業を担っており、神戸市にある兵庫工場などで、JRや私鉄向けの国内鉄道車両や、アメリカのメトロノース鉄道向けなどの海外事業者の鉄道車両を製造している。
車両事業の分社化は、同社が同日発表したグループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを ~Trustworthy Solutions for the Future~」の実現に向けて実施するもの。車両事業のほか、二輪車などを手掛けるモーターサイクル&エンジンカンパニーの分社化、船舶海洋カンパニーとエネルギー・環境プラントカンパニーの統合も予定する。
同社車両カンパニーでは、2018年度に北米向け鉄道車両にて多額の損失を計上している。現時点で自主再建のめどは付きつつあるが、分社により資本の独⽴性を⾼めることで、⾃律的な事業経営を徹底することを目的に、同社は車両カンパニーの分社化を決定した。同社は、新型コロナウイルスの影響で、鉄道関連投資計画の見直しや海外新線工事の遅延などが発生しているものの、環境に優しく日常生活に密着した公共交通手段としての鉄道システムは、今後も世界的に比較的安定した成長が見込まれるとしている。
川崎重工業は、車両カンパニーを分社化した後、業界関係各社との連携に機動的かつ柔軟に取り組むほか、同社が手掛ける航空宇宙システム事業の生産技術・品質管理手法を車両事業へと取り入れ、生産技術や品質管理の高度化、コスト競争力の向上により、堅調な鉄道関連事業を取り込んで行くとしている。