JR西日本は18日、鉄道沿線設備の各種情報を収集・蓄積・分析する、鉄道に適したシステムを、日本信号と共同開発したと発表した。
同社では、10月に「グループデジタル戦略」を策定し、1つの軸として「鉄道システムの再構築」に取り組んでいる。今回開発したシステムは、同社の鉄道システム再構築の柱となる「CBM」(予防保全)を実現するもの。鉄道沿線設備の各種情報を、IoTインフラネットワークや地上設備の状態監視センサーの整備によって、収集・蓄積・分析する。
このシステムでは、信号、電力、踏切といった鉄道沿線設備へ、センサやカメラを設置。これらが収集したデータを、線路沿いに約1キロ間隔で設置する「データ収集装置」が集約し、拠点へ送信する。これにより、遠隔地から検査結果が確認できるようになり、検査効率が大きく向上する。本システムでは、信号機や踏切といった鉄道沿線設備の多種多様なデータへの拡張性を実現するほか、鉄道沿線環境に耐え得る性能確保とセンサの小型・長寿命化、さらに自営通信網の活用による低コスト化が特徴だという。また、鉄道業界において同様のシステムを大規模に整備するのは、今回の例が日本初だとしている。
JR西日本はこのシステムについて、東海道本線・山陽本線米原~上郡間、大阪環状線、桜島線、福知山線尼崎~新三田間、奈良線京都~木津間を対象に、2022年度までに導入する計画。IoTインフラネットワークとセンサの整備に約11億円を投資するという。JR西日本では、検査の車上化など、他のCBMの取り組みとあわせ、鉄道設備の検査業務を2030年に約1割、特に近畿圏の電気関係設備においては約4割を、それぞれ削減することを目標に掲げている。