南海電気鉄道と三井住友カード、QUADRAC、ビザ・ワールドワイド・ジャパンは24日、南海の一部駅において、「Visaのタッチ決済」とQRコードによる入出場の実証実験を実施すると発表した。日本の鉄道事業者において、駅の改札でVisaのタッチ決済による入出場を可能とするのは初となる。
Visaのタッチ決済は、タッチ決済に対応したVisaブランドのクレジットカードなどを用いる、非接触型の決済手段。2020年9月末時点では、全世界におけるVisaの対面取引のうち、43%がタッチ決済となっているという。海外では、ロンドンやシンガポールなど、鉄道路線での導入例があり、日本においても、11月にWILLER TRAINS(京都丹後鉄道)が導入している。
実証実験では、「都度利用」と「事前購入」の2種類のサービスを提供する。都度利用は、Visaのタッチ決済機能のあるクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードを、入場時と出場時に改札機へかざすことで、電車に乗車できるサービス。改札通過時に、Visaカードによって乗車区間の運賃を決済する。事前購入は、スマートフォンに表示するQRコードを活用するもの。南海が提供するアプリなどで企画乗車券を事前に購入することで、このサービスを利用できる。
今回の実証実験は、鉄道利用者の利便性向上を目指したもの。特にインバウンドの利用者に対し、普段より使用しているVisaカードで電車に直接乗車可能とすることで、アフターコロナを見据えた受け入れ基盤の強化を図る。また、ウィズ・アフターコロナにおける、非接触決済を活用した新たな生活様式への対応や、企画乗車券のデジタル化も目標としている。
実証実験の実施期間は、2021年春から同年末までの予定。難波駅や関西空港駅など、南海の一部駅にVisaのタッチ決済用改札機を設置し、実証実験に備える。