東京メトロは24日、鉄道用「同期リラクタンスモーターシステム」の実証試験に、世界で初めて成功したと発表した。
同期リラクタンスモーター(Synchronous Reluctance Motor、SynRM)は、固定子の回転磁界(磁力)と回転子(モーターの回転部分)鉄心内の磁気抵抗の差によって生じる磁極との相互作用により、トルク(回転力)を生み出すモーター。従来の誘導電動機よりも高効率化を実現でき、また東京メトロ車両でも採用されている永久磁石同期電動機(PMSM)に使われるレアアースの供給課題も不要となるが、一方で高出力化の達成が課題となっていた。
東京メトロでは、三菱電機と共同で実証試験に着手。日比谷線用の13000系1編成のうち、2両にSynRM計4台、SynRM用の制御装置(SiCパワーモジュール適用インバーター)1台を搭載し、営業線において夜間に試験を実施した。
結果、すべての試験条件下において安定したモーター制御ができることを確認したほか、消費電力量や加減速度、運転操作、特殊環境における挙動、騒音について、いずれも既存システムと同等の結果となったという。また、従来の三菱電機製モーターの最高効率が95%であったところ、SynRMでは97%以上のモーター効率を確認。さらに、従来は困難であったSynRMの高出力化を実現し、定格出力は250kWを達成。加えて重量は562kgと、出力あたりの重量を従来モーターよりも大幅に削減できたという。
東京メトロでは、今後の本格的な運用に向けて、さらなる消費電力量評価などの長期にわたる評価試験を実施する予定としている。