東急電鉄は7日、「鉄道版インフラドクター」を本格導入すると発表した。
「インフラドクター」は、レーザー計測器や高解像度カメラなどを搭載した自動車で設備を計測し、トンネルなどの設備の状況を把握できるシステム。鉄道版インフラドクターは、これを鉄道向けに変更したもの。レーザースキャナによる3次元点群データと高解像度カメラの画像データを取得、解析することにより、軌道周辺の建築物の限界範囲である建築限界の検査や、トンネル内の状況確認ができる。
これまで、建築限界の検査や、トンネル内の特別全般検査は、主に夜間に目視や計測などで実施してきた。特にトンネル検査については多くの人手が必要となり、検査精度のバラつき、技術継承や技術者不足、検査費用の増加などが課題となっていたという。今回の鉄道版インフラドクターの導入により、人間による検査・計測を機械計測に置き換えることでDX(デジタルトランスフォーメーション)化を図るほか、要注意箇所の効率的な抽出、検査後の事務作業の省力化を実現するという。
鉄道版インフラドクターの導入は、中小私鉄では2020年に東急グループの伊豆急行が本格導入しているが、大手私鉄では初の事例。東急では2019年以降に実証実験を実施しており、今回の本格導入に至った。鉄道版インフラドクターは、9月7日より東急線内で計測作業を実施。世田谷線、こどもの国線を除く東急線全線にて、建築限界検査、トンネル内特別全般検査に活用するという。