JR東海は22日、東海道新幹線にミリ波方式の列車無線を整備すると発表した。
東海道新幹線では現在、指令と列車の通信に使用する列車無線には、線路横に通信ケーブルを設置するLCX(漏洩同軸ケーブル)方式を採用している。同社では、メンテナンスの省力化やセキュリティ強化の推進を目的に、ミリ波による列車無線システムの開発を進めてきた。
ミリ波方式では、沿線の平均500メートル毎に地上アンテナを設置。車両側アンテナは、従来の先頭車側面に代え、先頭部連結器カバー内に設置する。この方式により、通信速度は最大1Gbpsを実現。LCX方式で使用する400MHz帯の電波と比べ、約300倍の大容量通信が可能となる。
また、ミリ波は雨により電波が弱くなる性質があるため、特に豪雨時には安定した通信ができなくなる恐れがある。そのため、同社では同一信号を複数回送信する「豪雨モード」を開発。悪天候時においても安定した通信を可能とした。
同社では、ミリ波方式の採用により、画像・映像伝送の機能の強化を図る。従来はLTE回線を使用して送信していた車内防犯カメラの映像を列車無線経由での送信とするほか、運転台に設置するカメラの映像を指令へ伝送することで、障害発生時の状況確認を迅速化する。また、運転台やパンタグラフ付近に設置するカメラ、軌道監視装置などで取得した映像・データを送信し、地上側で解析することで、係員による巡回検査の削減にもつなげる。
ミリ波列車無線の導入工事は、2021年12月に開始。2027年1月に運用を開始する予定としている。