JR東日本は9日、「架線設備モニタリング」を本格導入したと発表した。
「架線設備モニタリング」は、電気・軌道総合検測車「East-i」に搭載したカメラやセンサで画像を取得し、架線設備を検査するシステム。従来の架線検査体系では、夜間に作業員が目視で状態を確認していたが、この作業の省力化を目指すものとなる。同社では2021年4月より、同システムを試行導入し検証。これまで「East-i」が検査してきたトロリ線の摩耗、高さ、偏位測定に加え、新たに搭載した架線設備撮影用のカメラによって、電線や架線金具の状態確認を可能とした。これにより、首都圏線区以外の在来線38線区、約5500キロにおける検査業務の約1割を削減できたほか、従来は年1回だった検査の年4回への多頻度化を実現したという。
同社はあわせて、さらなる検査の省力化に向け、AIによる設備の自動判定システムの試行も開始したと発表した。「ハンガ」や「コネクタ」といった金具類をカメラで撮影し、AIで設備の良否を判定するシステムで、11月に試行を開始したという。同様のシステムは、JR西日本も新型検測車「DEC741」で導入している。
JR東日本では、11月に首都圏を除くエリアで「架線設備モニタリング」の本格稼働を開始。輸送密度が高い首都圏エリアにおいては、トロリ線測定の頻度や精度の検証を進め、カメラ撮影も含めたモニタリングシステムの早期導入を目指すとしている。