JR東日本は8日、ドライバレス運転の実現に向け、2022年度中にカメラと画像処理装置の走行試験を実施すると発表した。
JR東日本では、列車の安全性向上や将来のドライバレス運転で必要となる技術として、ステレオカメラよる障害物のリアルタイムな自動障害物検知システムを、同社研究開発センターの先端鉄道システム開発センターで開発している。
障害物検知システムでは、車両の前方に搭載した2台のカメラ画像から、画像処理装置がステレオカメラの技術を用いて画像を解析。物体までの距離を計算することで、列車が走行する線路内の障害物をリアルタイムに検知する。自動車で実用化されている同様のシステムに対し、より遠方までの距離計算を可能としたほか、鉄道車両に適した専用カメラの開発により、車両の揺れの影響が少ない画像を得ることで、障害物の誤検知を削減。また、明るさの変化に対応できる画質調整や、カメラと画像処理装置での機能分担による検知処理速度の向上も実現した。
同社では、車両に適したカメラの開発や画像処理の精度向上を目的に、2020年2月より首都圏で走行試験を実施していた。2022年度にはカメラと画像処理装置の小型化開発に取り組みを行い、走行試験を実施。2023年度以降は、営業列車へシステムを搭載し、通常走行時のデータの蓄積、機能改善を継続する。JR東日本では、首都圏におけるさまざまな場所で試験を進め、さらなる性能向上に向けた開発を継続することで、本システムを安全性向上につながる乗務員の運転支援やドライバレス運転に適用することを目指すとしている。