JR九州は22日、香椎線で実施している自動運転列車装置の実証運転について、対象区間・列車を拡大すると発表した。
香椎線の実証運転は、運転士以外の係員が先頭部に乗務する自動運転(GoA2.5)の実現を目指し、2020年12月から実施しているもの。2022年1月までの間、総走行距離約8万1000キロ、総停車回数約3万1000回を記録し、在来線における自動運転列車の運行に関する知見を蓄積してきた。同社は今回、実証運転状況が良好と判断し、対象区間や列車を拡大することを決めた。
対象区間は、これまでの西戸崎~香椎間から、西戸崎~宇美間の香椎線全線に拡大。対象列車は、現行の上下各12本から、上り38本、下り39本へと、3倍以上に拡大する。これにより、日中時間帯は約半数が自動運転列車装置による運転となる。
同社はあわせて、安全・安定輸送の確保や利用者の利便性向上、環境負荷への軽減を目指し、区間拡大までに自動列車運転装置の新たな機能追加・改良の実施を発表。編成両数に応じた停止位置に停車する機能や、降雪等を考慮した走行モードの追加、走行時消費電力を抑制する走行制御への改良を盛り込むとした。このうち、天候に応じた走行モードの自動変更機能や、走行状態に応じた予測制御による経済運転機能は、日本初の導入となるという。
対象列車・区間の拡大は、2022年3月12日(土)に実施。JR九州では、国土交通省鉄道局の「鉄道における自動運転技術検討会」での議論を踏まえつつ、2024年度末までに、運転士以外の係員が前頭に乗務する自動運転の実現を目指すとしている。