広島電鉄、日本電気、レシップは4日、スマートフォンに表示させたQRコードや新たな交通系ICカードを認証媒体とする乗車券システムの開発に着手すると発表した。
新しい乗車券システムは「ABT(Account Based Ticketing)方式」と呼ばれるもので、認証媒体となるQRコードやICカードの固有のID番号と紐づいた利用者の情報を、クラウドサーバ側で管理する。同方式による乗車券システムの商用化の発表は、日本初のこととなる。
ABT方式では、チャージ残高や定期券などの利用者情報をクラウドサーバ側で保持・参照・更新し、機器側では高速な計算処理を行わないため、システム全体の低廉化が可能。また、QRコードやICカード以外の多様な認証媒体にも対応するため、他の交通手段や街中・旅先などでのさまざまなサービスとの連携も期待できるという。
利用者は会員登録とともに、クレジットカードまたは銀行口座を登録する。これにより、保有するスマートフォンやパソコンから金額のチャージ、定期券の購入、利用履歴の閲覧などが可能となる。路面電車・バスの利用時は、乗車・降車の際、自身のスマートフォンに表示させたQRコードを車載機へかざす。また、スマートフォンを持っていなくとも、専用の新たな交通系ICカードを交通機関の車載機に触れることで利用できる。このほか、定率割引、乗継割引、共通定期券制度など、現在の交通系ICカード「PASPY」で導入している各種割引サービスは、新乗車券システムでも実装予定としている。
なお、広島電鉄では交通系ICカード「PASPY」を導入しているが、これを展開するPASPY運営協議会では、「PASPY」を2025年3月までに順次サービス終了すると発表。今回の新乗車券システムは、「PASPY」に代わるものとなる。
新乗車券システムのサービス開始は、2024年10月を目途とする。具体的なサービス内容や開始日については、決まり次第告知するとしている。