JR東日本は5日、バリアフリー設備の整備拡大に向け、首都圏の一部路線で運賃を加算すると発表した。
今回の運賃加算は、国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用するもの。大宮~東京~大船間、高尾~新宿~千葉間など、首都圏の「電車特定区間」のみの利用時を対象に、普通旅客運賃は大人10円、通勤定期旅客運賃は1か月280円などを加算する。加算料金は、新幹線利用時を含むほか、通学定期旅客運賃は加算対象外となる。
同社ではこれまで、エレベーターやスロープなどの段差解消設備、バリアフリートイレ、ホームドアといったハード面、社員のサービス介助士資格取得といったソフト面の両面で、バリアフリーに対する取り組みを進めてきた。加えて、ホームドアの早期設置が求められている現状を踏まえ、東京圏在来線主要路線の線区単位の330駅758番線へ整備対象を拡大し、さらに整備時期を当初予定より1年前倒しし、2031年度末頃までの整備を目標とすると発表した。
一方で、今後のバリアフリー設備投資費用が約4200億円(うちホームドア設置費は約4100億円)と、多大な費用を要することから、今回の加算運賃設定に踏み切った。年間徴収額は計230億円を見込む。
加算運賃の料金設定は、同社が5日付で国土交通省関東運輸局に届け出た。料金の収受開始は、2023年3月頃を予定している。