大阪メトロは7日、御堂筋線と中央線の主要駅で取り組むリニューアル工事について、デザインを発表した。
同社では、大阪市内の南北軸となる両線について、老朽化した駅設備の安全確保に向けた工事にあわせ、魅力的なデザインや機能を充実させることで、駅自体を楽しめる空間として提供する「地下空間の大規模改革」を実施。これまでに梅田駅や心斎橋駅など、御堂筋線の5駅でリニューアル工事を進めてきた。
今回リニューアル後のデザインを発表したのは、御堂筋線の淀屋橋駅、本町駅、大国町駅、天王寺駅、中央線の大阪港駅、弁天町駅、本町駅、谷町四丁目駅、森ノ宮駅の計8駅。梅田駅などの先に着手した駅と同様に、それぞれ駅の地域性・歴史性と魅力を徹底して深掘りし、多くの乗客が喜ぶデザインとなるよう取り組んだという。
淀屋橋駅のデザインコンセプトは、「アーチ構造の象徴」。政治・経済の中心地として大阪を支えてきた同駅周辺エリアの伝統と格式を、重厚感のある石材やモノトーン基調で表現し、現状のシャンデリアを記憶のモニュメントとして踏襲しつつ、これまでの資産をモダンに再生する。
本町駅のデザインコンセプトは、「インターセクション」。御堂筋線と中央線という、大阪を代表する2路線が交わる駅として、高い機能性と象徴性の調和する駅を目指す。御堂筋線ホームでは、ダブルアーチの天井形状と柱の造形を活かしつつ、高級感のある素材と最新の照明計画により、モダンとクラシックが共存するデザインに変更。中央線ホームも同様に、高級感のある仕上げ素材や最新の照明計画を採用する。
また、御堂筋線と中央線の連絡通路などは、万博開催中や会期前後の交通量の変化なども加味しつつ、徐々に改装を進めていくとしている。
大国町駅のデザインコンセプトは、「地下構造が美しい駅」。御堂筋線と四つ橋線が対面接続するホームの地下構造を強調したデザインとし、列車が走る軌道の天井にも照明を設置する。
また、同駅南のコンコースには、南のコンコースには車両模型や車両の歴史に関する展示スペースを設置。展示スペース奥には、走行する列車を上から眺めることができる窓を設ける。
天王寺駅のデザインコンセプトは、「柱の美、格子の美、光の美」。天井のグリッドや柱を照明で際立たせ、立体感のある柔らかな空間に仕上げる。
大阪港駅のデザインコンセプトは「海」。駅舎デザインは大海原を泳ぐ大型海洋生物をイメージし、ホーム屋根には膜構造の素材を採用する。また、ホーム西側には海を望める展望デッキを設ける。
弁天町駅のデザインコンセプトは、「ステーション アート」。万博開催などを前に、同駅の利用客が増加することを見込み、明るく使いやすい駅とする。また、大型デジタルサイネージを取り入れる事で、照明や映像による演出によるアートを体感できる空間に駅を昇華させるとしている。
谷町四丁目駅のデザインコンセプトは「ジャポネスク」。大阪のシンボルである大阪城に最も近接する駅として、和を柱や壁のグラフィックとして表現し、次世代への新たな美として世界へ発信する駅をテーマとしたという。
森ノ宮駅のデザインコンセプトは「フォレスト」。大阪城公園の隣接地であることを表現し、柱などの随所に木の枝のデザインを取り入れる。同駅西のコンコースには、今回のリニューアル工事で役目を終える御堂筋線のシャンデリアなど、歴史的価値のあるものを展示するスペースを設置する。
大阪メトロは、駅の安全性・利便性の向上はもとより、「新たな出会いや発見につながるデザイン・機能・仕掛けにより、人を動かし、人の心を動かして生活をより豊かにする」ことで、大阪の活性化に貢献していくとしている。