JR東海は16日、東海道新幹線のブレーキ性能向上に向け、「ブレーキ総合試験装置」を小牧研究施設に設置したと発表した。
今回新たに導入した試験装置は、寒冷な雨や雪の降る環境を模擬できる装置。これらの環境下で強いブレーキを掛けた場合、車輪がレール上を滑走し、停止までの距離が長くなる場合があるという。そこで、試験装置において降雨・降雪下での走行を模擬し、様々な気象条件下で滑走を早めに収束させる性能の向上を目指す。
試験装置は、「粘着試験部」と「台車試験部」の2つの装置で構成される。粘着試験部は、車輪とレールの粘着に関する基本的な試験を実施し、ブレーキ部品の改良に活用。台車試験部では、粘着試験部で得た成果を基に、実際の台車やブレーキ装置を用いて検証する。また、本装置を用い、冬季に着雪しにくい車両構造の検討や、車両に付着した雪を落とす作業の機械化の研究開発も実施するとしている。
試験装置は、約28億円で導入。2021年6月より試運転などを実施し、2022年3月に本格稼働を開始した。同様の装置の設置は、鉄道業界では国内初だという。