東洋電機製造は16日、鉄道車両用電機品の遠隔監視用IoTシステムを開発したと発表した。
今回の製品は、同社が提供するクラウド型遠隔監視・制御システムの端末ユニット「IORemoterII」を活用したもの。同ユニットを鉄道車両用VVVFインバータ装置に適用し、機器動作状態の遠隔監視を可能とした。運用中の乗車率などの負荷状況、架線電圧などの電源状況、制御装置の制御状態などの実稼働状況のほか、蓄積された遠隔監視データの分析による、経年不良などの不具合事象の予兆把握、不具合発生時におけるメーカーとのデータ共有などができるという。鉄道車両用電機品、なかでも走行制御にかかわる重要部品の遠隔監視システムとしては、同社初の事例となる。
クラウドサーバーに集約された現車データは、Webブラウザを搭載したパソコン、タブレットなどからリアルタイムで閲覧できる。列車情報装置が非搭載の車両でも追加できるため、既存の車両にも導入可能だという。
同製品は、2022年4月下旬から京成電鉄3100形で試験搭載を実施。営業運転中に収集したデータのクラウドサーバーへの転送・蓄積を行っている。東洋電機製造は、将来のCBM(状態基準保全)の確立に向け、さらなる機能の充実を図るとしている。
また同社は、将来の車両、鉄道システムのデジタルツイン(サイバー空間上に構築した物理レプリカ)構築を目指し、デジタルツインモデルの自社製品開発に着手。デジタルツイン構築の第一段階として、遠隔監視システムから収集されるデータを基にVVVFインバータ装置のメンテナンスモデル開発を開始したとしている。