近畿日本鉄道は17日、2024年秋に新型の一般車両を導入すると発表した。
新型車両のコンセプトは、「ご利用いただくあらゆる方々に使いやすく、お客さまと地球環境に優しい車両」。車内防犯対策や省エネルギー化、バリアフリー対応を進め、車内の快適性の向上を図っている。
車両の外観は、従来の一般車両からデザインを大幅に変更。近鉄伝統の赤色をより鮮やかにすることで、新しいイメージを創出する。また、先頭車の先頭部には転落防止幌を設置し、ホームから編成連結部への転落を防止する。
車内デザインは、花柄の座席表布や木目調の壁を使用し、明るく優しい印象を創出。座席には、ロングシートとクロスシートの切り換えが可能な「L/C シート」を採用する。また、ベビーカーや大型荷物を持ち込む利用者も着席できる扉横のスペースを、1両あたり2か所設置。同様のスペースの設置は、国内初の事例だという。このほか、多言語表示が可能な扉上の大型液晶ディスプレイの設置、各車両両端への優先座席の設置、車両床面の低床化によるホームとの段差の低減など、バリアフリーに配慮する。
機器面では、新型のVVVFインバータ制御装置を採用することで、従来車両比で消費電力を約45パーセント削減。車内照明や前照灯へのLED照明の採用とあわせ、省エネルギー化を進める。また、車内には防犯カメラを設置し、乗務員や運転指令者が車内状況を確認可能とする。このほか、利用者が個別に扉を開閉できるスイッチを設置し、酷暑時や厳冬期の車内保温を図る。
今回の新型車両は、近鉄の一般車両の新形式導入としては、2000年デビューの「シリーズ21」車両以来、約24年ぶりとなる。同社では、昭和40年代に製造した車両約450両について、利用状況を見極めたうえで、必要分を置き換えるとしている。今回導入する車両は、4両編成10本の計40両。奈良線、京都線、橿原線、天理線へ投入し、以降他路線へも展開するとしている。