JR東海は21日、在来線車両検修管理システム「アクロス」の機能向上について発表した。
「アクロス」は、在来線車両の検修実績や検査計画などを管理するシステム。これまでは、検修時に紙の帳票を用いてチェックし、検修結果も人の手で確認。結果データはその多くを紙で保管してきた。今回の機能向上によって、検修データの完全電子化を実現。タブレットやスマートフォンを導入することで、電子帳票や音声入力による記録を可能とし、全データを電子情報として蓄積する。また、検修結果の確認も自動判定化し、作業の信頼性や効率性の向上を図る。
また、今回の機能向上において、画像自動診断技術とLTE通信を新たに導入する。
画像の自動診断は、一部の車両部品の検査において導入するもの。タブレットで対象部品を撮影し、サーバーへ送信することで、画像を解析し、車両や部品の状態を診断。人による検査を画像診断に置き換えることで、信頼性や効率性の向上に繋げる。
LTE通信は、サーバーと各拠点を結ぶ通信網として活用。データや写真等の検修に必要な情報の共有に利用する。災害時など、臨時に遠隔地での検修が必要となった際においても、車両区などと同じように作業を進められるほか、現地状況のリアルタイムな共有を実現することで、指令等から現地への支援を可能とする。
「アクロス」の機能向上は、2024年10月を予定する。JR東海では、「アクロス」の検修データをすべて電子化することで、2022年に運用を開始した在来線車両状態監視システム「DIANA」とあわせて活用することで、メンテナンスにおける最適な検査項目や取替時期を追求するとしている。