JR東海は4日、東海道新幹線の夜間保守作業車両で使用している事故防止装置「新幹線保守用車接近警報装置」を改良したと発表した。
改良内容は、保守用車の編成長測定機能の新設と、ブレーキ制御システムの改良の2点。測定機能は、保守基地の出口付近にレーザースキャナーを設置し、保守用車の出発時に編成長を正確に測定し、モーターカーを始めとする自走車両の車上装置へ送信するもの。自走車両のGPS情報と組み合わせることで、保守用車の編成同士の間隔の正確な測定と把握を実現した。ブレーキ制御システムは、測定した編成同士の間隔および相対速度に応じて、ブレーキをこまめかつ段階的に作動させるもの。前方の編成との間隔が最小で10メートルとなる位置まで、システムが安全を確保した状態で近づけることを可能とした。
今回の改良は、従来装置の老朽化による取り替えに合わせて実施したもの。従来の装置は、自走車両自体の位置情報は把握するものの、自走車両の前後に連結する運搬用車両を含めた保守用車全体の長さ情報は持っていなかった。そのため、自走車両同士の間隔が安全上十分な距離である150メートルを下回らないよう、自動的にブレーキを作動させ、安全を確保していた。複数の自走車両を150メートル未満の距離に近接させる場合には、運転者が装置の自動ブレーキ機能を解除し、目視などによる確認で保守用車を運転する必要があった。
そこで同社は今回、2つの機能を新設し、装置を改良。複数の保守用車を150メートル未満の距離近接させる場合、従来の運転者の注意力に加え、ブレーキ制御システムによる事故の防止も実現し、保守作業における安全性がより向上したとしている。
改良後の事故防止装置は、2022年4月に使用を開始している。