南海電気鉄道は28日、国土交通大臣に対し、鉄道線旅客運賃変更の認可を申請した。
改定後の大人普通旅客運賃は、3キロ以内の初乗り運賃区間は20円、4キロ以上15キロ以内は30円、16キロ以上は40円の値上げとする。改定率は、普通運賃が9.0%、通勤定期券が12.3%、通学定期券が4.5%となる。また、難波~中百舌鳥間の普通運賃では特定運賃を設定。現行340円、改定後370円の運賃を、特定運賃では350円に設定する。特定運賃は、申請の認可後に届け出るとしている。また、鋼索線の運賃や空港線の加算運賃については、従来通り据え置く。
今回の運賃改定は、沿線人口の減少や、コロナ禍における利用動向の変化を受けて実施するもの。運賃改定は2023年10月の実施を予定しており、消費税率の引き上げを除く運賃改定は、1995年以来28年ぶりとなる。
同社はあわせて、将来に向けた取り組みを発表。労働人口が減少する中で、公共交通機関の役割を的確に果たすべく、デジタルテクノロジーを活用することで、業務の効率化や合理化を図るとしている。駅業務については、2023年度中に「駅総合案内センター」を新設し、遠隔対応している駅業務を一元化。運転業務については、2024年度を目標に、南海本線の一部区間でワンマン運転を実施するほか、2023年度には自動化レベルGoA2.5の自動運転実証実験を実施する。メンテナンス面でも、予防保全を取り入れた点検保守体制の導入や、ドローンの活用などを進めるとしている。
車両面では、世界遺産である高野山へのさらなる誘客強化策として、2025年度を目標に、高野線へ新たな観光特急車両を導入。個人利用者からツアー参加者まで利用しやすい運行ダイヤの設定や、車内での飲食サービスの提供を検討しており、乗車すること自体が目的となるサービスを目指しているという。一般車両では、6000系をはじめとする旧型車両の置き換えを継続。支線のワンマン車両については、2000系をワンマン改造し、1960~70年代に製造された2200系を置き換える。
利用者向けのサービス面では、2023年にPiTaPaやICOCAでの乗車を対象としたポイントサービスを導入。QRコードを利用した乗車券に対応した改札機の設置を進めるほか、乗車券をデジタル化することによる新たなビジネスモデルも検討するとしている。